6.製品概念
6.製品概念
- マーケティングにおける製品
- 製品概念(製品レベル)
- コトラーの製品概念・製品構造
- 中核ベネフィット
- 製品の形態
- 付随サービス
- レビットの製品概念・製品レベル
- 製品レベルと顧客価値
- 中核ベネフィット
- 基本製品
- 期待製品
- 拡張製品
- 潜在製品
- 製品分類
- 製品分類
- 有形財...変動性と消滅性なし
- 耐久財...複数回の使用に耐えうる(家電、自動車)
- 非耐久財...1~数回の使用で消耗される(食料品、日用品)
- 無形材...変動性と消滅性あり(飲食、美容院、旅行)
- 購買習慣による製品分類と販売促進
- 最寄品
- 買回品
- 専門品
- 製品ミックス
- 製品ライン
- 製品ラインの幅
- 製品ラインの深さ
- 製品ミックスを拡張する方法
- ライン・ストレッチング
- ライン・フィリング
- 製品ミックスを拡張することの強み・弱み
- 強み
- 幅広い顧客への対応が可能になる
- 規模の経済性を享受できる
- 流通業者との取引が有利になる
- 弱み
- 戦力の分散化
- カニバリゼーション(共食い)や消費者の混乱を招く可能性
- 製品差別化戦略
- 製品の特徴
- 地理的ロケーション
- 製品の品揃え
- 他企業とのリンク
製品概念とは、マーケティング・ミックスを構成する4つの要素のうち、製品(Product)に着目したものである。またマーケティングにおける製品とは、消費者の問題を解決するためのベネフィット(便益)の束であり、消費者が使用・消費できる状態になったモノで、マーケティング・ミックスの根幹をなす最も重要な要素である。
製品概念はコトラーの製品概念・製品構造とレビットの製品概念・製品レベルに大別される。
コトラーの製品概念・製品構造では、中核ベネフィットがあり、その外側にパッケージ、品質、デザイン、ブランドなどの製品の形態があり、製品の形態の外側に保証、取り付け、返品・返金、配送などの付随サービスがあるとされている。
またレビットの製品概念・製品レベルでは、中核ベネフィットから外側に、基本製品、期待製品、拡張製品、潜在製品という風にレベルが上がっていくとされ、レベルが上がるごとに顧客の価値も上がるとされる。それぞれの製品レベルと顧客価値は5つのレベルに分けられる。まず中核ベネフィットは、顧客が自室的に入手できる基本的なサービスやベネフィットであるとされる。一段階上の基本製品は中核ベネフィットを提供する物質であるとされる。さらに一段階上は期待製品とされ、顧客がこう時に期待する一連の属性を整えた製品であるとされている。さらに第四段階は拡張製品とされ、顧客の期待を上回るベネフィットを提供する製品であり、差別化が生じるレベルであるとされる。最後は潜在製品とされ、製品に対して将来行われる可能性のある誇張や転換を全て含んだ状態のモノであるとされる。
以上のような製品は、形の有無と購買習慣という二つの軸から分類することができる。
まず形の軸で製品分類をすると、変動性と消滅性のない有形財と変動性と消滅性のある無形財に分類される。さらに有形財は、複数回の使用に耐えうる耐久財と数回以内の使用で消耗する非耐久財に分類することができる。
また購買習慣から製品分類をすると、消費者が頻繁かつ即座に最小限の努力で購買できる最寄品と消費者が購買過程で自身の思考、品質、価格などを基準に比較検討する買回品と独自の特性を持ち、消費者が特別な努力をして購買しようとする専門品の三つに分類可能である。
そして、企業はある製品が売れてくれば、そうした製品をもとに新たな製品を開発・販売しようとする。その時、どのようにして複数の製品を関係づけ、企業全体としての製品展開の方向性を考えていくべきかを決定する助けとして製品ミックスがあるとされる。ここで製品ミックスとは、特定の企業が販売するすべての製品アイテムの集合体とされ、製品ラインの「幅」と「深さ」という二次元の広がりを持つとされる。
製品ラインは、物理的特性、用途、流通経路、生産工程などが同一ないし、類似している製品の集合のことであり、製品ラインの幅はその企業が有する製品ラインの数であり、製品ラインの深さは一つの製品ラインにある製品アイテム数のことである。
製品ラインを拡張する方補として、現在の範囲を超えて製品ラインの深さや幅を広げるライン・ストレッチングと現在の範囲内にさらにアイテムを加えることで、製品ラインを充実させるライン・フィリングがある。 またライン・ストレッチングは低価格帯へのライン導入を意味する下級市場へ拡張、高価格帯へのライン導入を意味する上級市場への拡張、上下双方へラインを導入する上下双方への拡張がある。
製品ミックスを拡張することの強みとして、幅広い顧客への対応が可能になること、規模の経済性を享受できること、流通業者との取引が有利になることなどがあげられる。一方で、製品ミックスを拡張することの弱みとして、戦力の分散化やカニバリゼーション(共食い)や消費者の混乱を招く可能性があるということが挙げられる。
以上の戦略の上に製品ミックスを拡張し、実際に製品を企画する際に企業は製品差別化戦略を設計する必要がある。製品差別化とは消費者が認知する競合他社の製品の価値に対して、自社の製品の価値を増大させることにより、競争優位を確保することである。製品を差別化する方法として、製品の特徴、地理的ロケーション製品の品揃え、他企業とのリンクがあげられる。
製品の特徴とは、優れた品質や優れたデザイン、用途の広さなどの製品の客観的属性を操作することである。この方法は消費者の認知状の価値を変更させるために最も有効な手段ではあるが、製造コストや販売価格との調整が必要である。
次に地理的ロケーションとは、便利な立地、製品の品質確保などの企業の物理的立地を調整することである。消費者から見た地理的アクセスのしやすさを考慮する方法であり、品質面での優位性が確保されるだけでなく価格面での優位性も確保できる。
三つ目に製品の品揃えとは、ライン・ストレッチング、ライン・フィリング、ブランド拡張、などを行い、一つの企業で製造されるせ品ラインを拡張することである。消費者の利便性やコレクターの心理にも影響するとされる。
最後に他企業とのリンクとは、共同開発やライセンス契約、ブランド・アライアンスなどの他社の資源を活用することである。この方法では、企業同士のネットワークの間でアイデアや人を結びつける架け橋として機能する存在である境界連結者の役割が重要になる。
5.STP基本戦略
5.STP基本戦略
STP 基本戦略
(セグメント:区分 ターゲッティング:目標設定 ポジショニング:位置づけ)
a. コストリーダーシップ戦略
c. 集中戦略
b. 消費者への対応
a. セグメンテーション
i. 市場細分化の軸
b. ターゲティング
i. ターゲットへの接近
c. ポジショニング
i. ポジショニングと連想
b. 4Pの各要素と意思決定すべき内容
現在の環境分析後に行う基本戦略として3つある。一つ目は、製造、流通のコストを削減して市場での大きなシェアを獲得するコストリーダーシップ戦略。これは、市場シェアが高く資本力がある企業に向いている。二つ目は、市場の多くから評価されている重要な顧客ベネフィットを他社より優位に提供する差別化戦略。これは、狙った差別をなせる強みを作る必要がある。三つめは、一つか二つの狭い市場セグメントに絞り込んで集中する集中戦略。これは、今あるセグメントを理解し標的とするセグメントに対してコストリーダーシップか差別化を追求する。
マーケティング・マネジメントは、標的とする顧客を選び、優れた顧客価値を作り出し顧客を作り、維持し増やすために行われる意思決定、そのための活動管理のことを言う。まず初めに、マーケティング環境を分析しセグメンテーション、ターゲティングを決める、そのうえでポジショニングを行いマーケティングミックスを決定・管理する。マーケティングにおける市場とは、消費者の集合を表す。消費者への対応として消費者に同じ対応をするマスマーケティング、特定の消費者に個別に対応するワントゥワンマーケティングがある。しかし、消費者とは、異質的でありそれぞれ異なっていることを意識すべきである。
ほかにも、市場を分割して自社に有益なグループを標的としてアピールするSTPマーケティングがある。STPマーケティングのプロセスとしてS:セグメンテーション(市場の細分化)をしT:ターゲティング(標的市場の選定)をしたのち、P:ポジショニング(差別優位性の確立)をする、STPがある。
セグメンテーションとは、ある観点からみて市場をグループ化して分けることである。市場を細分化するうえで軸となるのは、人口統計面,地理的,心理的,行動的変数でここで分けられたグループをセグメントと呼ぶ。
ターゲッティングとは、市場細分化によって分けられたセグメントのうち自社が対象とすべきセグメントを選ぶことで、この際に注意すべき点として自社のことを理解する、客観的指標を示す、ターゲットの接近方法を理解し選ぶということがあげられる。ターゲットへの接近方法として挙げられるのは、特定セグメントに集中する単一ターゲットアプローチ、複数のセグメントにマーケティング手段を分ける複数ターゲットアプローチ、いくつかのセグメントを1つにまとめてマーケティングをする結合ターゲットアプロ―チがある。
ポジショニングとは、自社製品が他社製品より魅力的かつ独自的であるという認識をあたえることである。ポジショニングで重要な点は、特化すること、他社と異なる独自性を持つこと、自社製品と結びつきのあるコンセプトやイメージに継続性をもつことである。またポジショニングは連想も重要で、この商品ならこの能力はもちろんあると思わせる類似的連動がある。
マーケティング・マネジメントの基本枠組みとして顧客を獲得し維持し増やすためには、企業の積極的活用が不可欠である。企業が積極的に活動するために操作できるマーケティングの要素をマーケティングミックスという。この要素は4Pからなり、どのような商品を作るか(プロダクト),いくらで売るか(プライス),どこで売るか(プレイス),どのように知らせるか(プロモーション)に分けられる。このマーケティングミックスを展開するうえで4pの個々の要素が相互に関係しあっているかという内的一貫性、4pの組み合わせと企業の直面しているマーケティング環境が相互に整合したものとなっている外的一貫性を意識するのが良い。ここでは、4pによって何を行うのか、どのように関連付けされているかを考えることが重要である。これらを踏まえたうえで、STP及びマーケティングミックスの決定とその管理のことをマーケティングマネジメントと呼ぶ。
4.顧客関係の構築 消費者行動
4.顧客関係の構築 消費者行動
- 顧客関係の構築
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顧客価値(=顧客の知覚価値)=(総顧客価値) - (総顧客コスト)
- 総顧客価値を増大させる
- 総顧客コストを減少させる
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顧客ロイヤルティロイヤルティ...あるブランドに対して一貫した購買を実現させる好意的態度ブランド・ロイヤルティ、ストア・ロイヤルティ
- 顧客ロイヤルティが重視される背景
- コモディティ化...製品やサービスの差別化が困難な状況だから
- 情報技術の発達...顧客管理や顧客サービスの向上が可能になるから
- 顧客パワーの増大...顧客が製品に関して充分な情報を持つから
-
...顧客ロイヤルティを赤める要因の一つ
- 購買・使用によって生じる感情的反応
- 購買・使用を通じて形成される心情的評価
→ニーズがどの程度満たされたかの受け止め方
- 消費者行動
-
消費者行動モデル→マーケティングと消費者行動は密接に関係している
-
問題認識=生活上の課題の認識
- ニーズ...人間の基本的な要求
- ウォンツ...特定の対象に向けられたニーズ
-
情報探索→消費者の製品に関する事前知識と関与に左右される
-
内部情報探索=知識
-
外部情報探索=広告、POP、チラシ、店頭の説明、クチコミなど
その後、選択肢の絞り込み
=入手可能集合→知名集合→考慮集合→選択集合→選択
-
代替案評価評価基準と評価ルールに従ってだいたいブランドを比較・評価評価プロセス...信念→態度→意図
- 購買決定
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ブランドロイヤルティ=関与度高、特定のブランドを購買する行動
-
リピート購買=関与度低、惰性で購買する行動
-
バラエティシーキング=飽きた結果、好奇心から別のブランドを購買する行動
-
ブランドスイッチ=同カテゴリーの別ブランドを購買する行動
-
購買後行動→使用や消費を通して製品の再評価
- 満足・不満足の整形
- 口コミを介して他者へ伝達
マーケティングと消費者行動は密接に関係しており、有効なマーケティングを実施するには、顧客、すなわち消費者の心理・行動を理解することが必要不可欠である。つまり、企業にとって顧客関係を構築することは大切になってくる。
マーケティングコンセプト企業では、逆さまのピラミッドの頂点に顧客が位置づけられる。これは、顧客に対して満足を与えるのは現場の従業員であり、中間管理職は現場の従業員が顧客に充分なサービスを提供できるように支える役割を担うとされ、経営陣はピラミッドの最下層に位置し、優秀な中間管理職を雇用し支援する役割をもつ。このピラミッドではどのレベルの管理職も顧客を知り、接し、サービスを提供することに関わる必要があるとされる。
このような企業では、顧客が購買に関わる意思決定をいかに行うかを理解することが重要になってくる。つまり、顧客の知覚価値を正確に認識する必要がある。ここでの知覚価値とは、顧客が知覚する特定製品に対して顧客が期待する経済的、機能的、心理的ベネフィットを総合した総顧客価値と特定製品を評価、入手、使用、廃棄する過程において顧客が見積もったコストの総合である総顧客コストの差分である。売り手は自社の提供物が書いてからどのように評価されているかを把握するために、競合他社と比較して総顧客価値と総顧客コストを査定する必要がある。そこで、顧客の知覚価値が劣勢にある売手は、総顧客価値を増大させるか、総顧客コストを減少させる必要がある。
顧客価値が上昇すると、顧客ロイヤルティが上昇すると考えられている。ここでのロイヤルティとは、あるブランドに対して一貫した購買を実現させる好意的態度であり、顧客が金銭的もしくは個人的な犠牲を払ってまでも、企業とのリレーションシップを強化したいと望むことである。ブランドが対象である場合はブランドロイヤルティ、店舗が対象の場合はストアロイヤルティと呼ばれる。近年顧客ロイヤルティが重視されている背景が3つある。一つめは製品やサービスの差別化が困難な状況であるというコモディティ化である。二つ目は情報技術の発達によって顧客管理や顧客サービスの向上が可能になったため、顧客情報を活用して顧客のオファーの提供が可能になる。最後に顧客が製品に対して充分な情報を持つことにより情報をコントロールして自社に有利なように消費者を操ることが困難になったために生じた顧客パワーの増大がある。
さらに顧客ロイヤリティを高める最大の要因として、顧客満足がある。ここでの満足とは、製品の購買・使用によって生じる感情的反応と、それを通じて形成される心情的評価である。顧客満足が形成されるためには、購買前のパフォーマンスへの期待(期待水準)と購買後のパフォーマンスへの知覚(知覚水準)の不一致の大きさが重要になる。満足を高める方法としては、期待ちをそのままに知覚パフォーマンスを上昇させるか、期待値の上昇よりも知覚パフォーマンスの上昇を大きくするかの二択になる。
以上のような消費者行動はマーケティングと密接に関係しており、有効なマーケティングを実施するには、顧客すなわち消費者の心理・行動を理解することが必要不可欠である。そこで消費者購買のプロセスは、問題認識、情報探索、代替案評価、購買決定、購買後行動の五段階に分解できるとされている。
まず問題認識とは、消費者の生活上の課題の認識である。目標の状態と現実の状態のズレが闘値より上であった場合に問題認識に至る。そこで現実に直面する問題は製品を消費することによって解決されるという認識を持つため、消費者の欲求を喚起する必要がある。その欲求は、人間の基本的な欲求であるニーズと特定の対象に向けられたニーズであるウォンツがある。
次に消費者はその問題を解決するために情報探索を行う。ここでは2種類の情報探索があり。一つは知識である内部情報探索であり、もう一つは広告、POP、チラシ、店頭説明、クチコミなどの外部情報探索がある。情報探索の程度は消費者の製品に関する事前知識と関与に左右される。また情報探索を通じて、消費者はブランドの選択肢を絞り込む。その絞り込みは、入手可能集合、知名集合、考慮集合、選択集合の順でだんだん絞られていく。考慮集合で主要な選択肢を考慮対象とし、選択集合で最終的な選択肢に絞られる。
そして三つ目に消費者は地震の評価基準と評価ルールに従いながら、収集した情報や知識に基づいて代替案評価を行う。その評価プロセスは信念、態度、意図の順で行われる。ここでの信念とは人があるもん痛いして抱く考え・イメージであり、態度とは、人が物事や考えに対して持続的に有する好意的/日好意的な評価、感情、行動の傾向である。
そして四つめに購買行動を起こす。ここでの消費者の購買行動には一定の4つのパターンがある。一つ目は、消費者の製品関与度が高く、ある特定のブランドを反復して購買するブランドロイヤルティ。二つ目は、関与度の低いカテゴリーにおいて、一度買ったブランドを惰性で続けて購買する反復購買。三つ目は、現在の自分のブランド選択に飽きた結果、好奇心から別のブランドに切り替えて購買するバラエティシーキング。四つ目は、普段購買しているのとは異なる、同じカテゴリーの別のブランドを購買するブランドスイッチである。
最後に購買した製品の使用や消費を通して、製品の再評価が行われ、知識が更新される購買後行動が起こる。再評価によって満足や不満足が形成され、口コミを介して他者へ伝達される。
3.マーケティング機会の分析
3.マーケティング機会の分析
- マーケティング機会とは
- マーケティング機会の発見と環境分析の必要性
- マーケティング環境
- マーケティング環境分析の種類とその説明
- SWOT分析(外部&内部)
- 3C分析(外部&内部)
- Company
- Competitor
- Customer
- 顧客分析
- 一次データ
- 二次データ
- 内部データ
- 外部データ
- マーケティングリサーチ
- 5フォース分析(外部)
- 新規参入
- 競争相手
- 代替品
- 供給者
- 購入者
- BCGのプロダクトポートフォリオマトリックス(内部)
- VRIO分析(内部)
- 経済価値(value)
- 希少性(rarity)
- 模倣困難性(inimitability)
- 組織(organization)
- まとめ
そして新たなマーケティング機会を見つけるために行うべきは「マーケティング環境の分析」である。マーケティング環境とは自社のマーケティング活動を取り巻く状況であり、環境分析の対象は外部環境と内部環境に分けることができる。まずマーケティングの外部環境は、自社以外のマクロ環境と自社に関連するミクロ環境に分けることができる。マクロ環境の要因は、でもグラフィック環境、経済環境、自然環境、技術環境、政治・法的環境、社会・文化的環境である。またミクロ環境は、顧客、競合他社、仕入先、流通業者、ディーラーなどである。次に内部環境は、財務資源、物的資源、人的資源、組織資源などの企業あるいは事業内部の経営資源である。
これらの環境を分析するためにはいくつかの手法がある。まず内部環境と外部環境を分析する方法としてSWOT分析と3C分析がある。SWOT分析は、ある市場において自社の事業にどのような「機会」と「脅威」、そして、どのような「強み」と「弱み」が存在しているのかを分析・評価するものである。内部環境のプラス要素を強み(Strength)、マイナス要素を弱み(Weakness)と捉え、外部環境のプラス要素を機会(Opportunity)、マイナス要素を脅威(Threat)と捉えるものである。また3C分析は、企業の取り巻く外部環境を、顧客(Customer)、自社(Company)、競争相手(Competitor)の3つに分けて分析する枠組みである。ここで特に顧客分析には、一次データと二次データが必要になってくる。一次データとはある目的のために新規に収集されるデータであり、二次データとは他の目的のために、すでに存在している情報源から必要な情報を入手できるデータである。二次データは、企業の組織内に存在する内部データと企業の外部に存在する外部データを活用することが大切になってくる。これらのデータを踏まえると顧客分析の手順は、まず二次データを活用して人口・年齢層、家族構成、帰属集団、エリア、思考・意識、ライフスタイルなどを把握した後、一次データを収集して、基本属性、ニーズ、購買行動など自社の顧客について調査などを行い、詳しく把握する。二次データを活用するときは、信憑性があるか、正しい情報かどうか確認が必要である。さらに外部環境を詳しく分析する手段として、5フォース分析がある。5フォース分析は、業界の競争状況や収益率を、新規参入、競争相手、代替品、供給者、購入者という5つの要因(=5 forces)によって分析する手法である。また内部環境を詳しく分析する手段として、BCGのプロダクトポートフォリオマトリックスとVRIO分析がある。BCGのプロダクト・ポートフォリオ・マトリックスでは横軸に市場の成長性、縦軸に相対市場シェアをとる。そのマトリックスで、高成長市場かつ高相対市場シェアの事業は「花形」事業と呼ばれ、基本戦略として市場の成長に見合う以上に積極的に資源を投資する「補強」を行う必要があるとされる。次に高成長市場かつ低相対市場シェアの事業は「問題児」事業と呼ばれ、基本戦略として積極的に投資をして、花形への移行を目指す「成長戦略」を行うべきであるとされる。三つ目に低成長市場かつ高相対市場シェアの事業は「金のなる木」事業と呼ばれ、行うべき基本戦略としては、競争が穏やかな環境で獲得してた収益・資金を花形事業や問題児事業へ投資するための「現状維持」であるとされる。そして最後に、低成長市場かつ低相対市場シェアの事業は「負け犬」事業と呼ばれ、市場の将来性も期待できず、自社の収益を出せないため、行うべき基本戦略は「撤退」であるとされる。またVRIO分析とは自社の経営資源の強みと弱みを評価する際の基準となるフレームワークである。経済価値(value)、希少性(rarity)、模倣困難性(inimitability)、組織(organization)の視点からそれぞれ評価することで、自社の経営資源にどれだけ価値があるのかを測ることが可能になる。
2.マーケティング・プロセスと戦略
2.マーケティング・プロセスと戦略
- マーケティングコンセプトの価値提供プロセス
- 価値の選択
- 市場を細分化、適切な標的市場を選択、商品価値のポジショニング
- →STPの決定が中心
- Segmentation:細分化
- Targeting:標的化
- Positioning:ポジショニング
- 価値の提供
- 製品の特徴、価格、流通について具体的に決定
- 価値の伝達
- セールス・フォース、販売促進、広告などの、コミュニケーションツールを駆使して製品の告知とプロモーションを行う
- 価値提供プロセスの実行と戦略
=企業本部や経営幹部は、全社を導くために立ち上げる事業、やめる事業を決定し、また各事業部にどれだけの資源を配分するかを決定
-
そのためにポートフォリオを作成横軸:市場の成長率縦軸:相対市場シェア
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花形=高成長市場×高相対市場シェア↪補強(市場の成長に見合う以上に積極的に資源を投資)
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問題児=高成長市場×低相対市場シェア↪成長戦略(積極的に投資して、花形への移行を目指す)
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金のなる木=低市場成長率×高相対市場シェア↪現状維持(競争穏やかな市場で獲得した収益・資金を花形や問題児に投資)
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負け犬=低市場成長率×低相対市場シェア↪撤退(将来性なし、収益も出せないから)
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成長機会を評価=新規事業の計画と古い自魚の合理化あるいは廃止を行うことアンゾフが提案した「製品/市場グリッド」が有効
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事業単位の戦略計画事業単位の戦略設計プロセスある市場で自社の事業にどのような機会と脅威、強みと弱みがあるのかを分析・評価するもの
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プラス要素
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マイナス要素
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内部環境
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強み(Strength)
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弱み(Weakness)
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外部環境
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機会(Opportunity)
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脅威(Tread)
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マーケティングコンセプトが成立する以前、企業は製品を製造し、その製品を販売するという価値提供プロセスを伝統的に実行してきた。ここではマーケティングはプロセスの後半で行われていた。しかしマーケティングコンセププトの価値提供プロセスは、価値の選択、価値の提供、価値の伝達の順に行われる。まず価値の選択は、STPを中心に行われる。STPとは市場の細分化、適切な標的市場の選択、商品価値のポジショニングである。そして価値の提供では、製品の特徴や価格、流通について具体的に決定を行う。最後に価値の伝達として、セールス・フォース、販売促進、広告なおdの、コミュニケーションツールを駆使して、製品の告知とプロモーションを行う。
価値提供のプロセスが決定すると、その実行と実行のためにどのように戦うかの全体を決める戦略を策定することが重要になってくる。具体的な戦略策定の手順は、企業ミッションの明確化、自社の事業をポートフォリをとして管理、事業単位の戦略計画である。
まず企業ミッションを明確化することで、自社の存在意義を表現することでメンバー間で共通意識を持ち、自社の目標達成に向けて力をあわせることが可能になる。
次に企業本部や経営幹部は、全社を導くために立ち上げる事業、やめる事業を決定し、また各事業部にどれだけの資源を配分するかを決定するために、自社の事業をポートフォリオとして管理する。具体的な例としてBCGのプロダクト・ポートフォリオ・マトリックスがある。BCGのプロダクト・ポートフォリオ・マトリックスでは横軸に市場の成長性、縦軸に相対市場シェアをとる。そのマトリックスで、高成長市場かつ高相対市場シェアの事業は「花形」事業と呼ばれ、基本戦略として市場の成長に見合う以上に積極的に資源を投資する「補強」を行う必要があるとされる。次に高成長市場かつ低相対市場シェアの事業は「問題児」事業と呼ばれ、基本戦略として積極的に投資をして、花形への移行を目指す「成長戦略」を行うべきであるとされる。三つ目に低成長市場かつ高相対市場シェアの事業は「金のなる木」事業と呼ばれ、行うべき基本戦略としては、競争が穏やかな環境で獲得してた収益・資金を花形事業や問題児事業へ投資するための「現状維持」であるとされる。そして最後に、低成長市場かつ低相対市場シェアの事業は「負け犬」事業と呼ばれ、市場の将来性も期待できず、自社の収益を出せないため、行うべき基本戦略は「撤退」であるとされる。また別角度からの視点として、成長機会を評価することが重要になってくる。成長機会を評価するために事業の成長の方向性を探るのにはアンゾフが提案した「製品/市場グリッド」が有効である。製品/市場グリッドにおいて事業の成長の方向性は、市場浸透戦略、新製品開発戦略、市場拡大戦略、多角化戦略に別れる。まず、市場浸透戦略の具体的活動は、製品の普及・拡大や消費者一人当たりの使用量の増加である。次に新製品開発戦略の具体的活動は、製品ラインの拡大や製品の切り替えである。三つ目に市場拡大戦略の具体的活動は新しいターゲットの設定や市場の国際化である。最後に多角化戦略の具体的活動は、自社の有する未利用資源を活用して新しい分野で事業を展開する関連多角化とマネジメントぬお緑野財務資源以外の資源を有することなく、既存市場以外の分野に進出する非関連多角化がある。また関連多角化にも、自社の既存技術力を活用して新製品を開発することによって事業の新たな展開を図る技術関連多角化と自社がすでに事業を行なっている市場で形成したノウハウを活かして新たに事業展開を行う市場関連多角化がある。
そしてマーケティング戦略策定の三つの手順の最後に、事業単位の戦略計画を行う。事業単位の戦略設計プロセスは、事業のミッション、内部・外部環境の分析、目標の設定、戦略策定という順に進んでいく。ここで重要になってくるのが、外部・内部環境分析である。そして外部・内部環境分析でよく用いられる手法としt、SWOT分析がある。SWOT分析は、ある市場において自社の事業にどのような「機会」と「脅威」、そして、どのような「強み」と「弱み」が存在しているのかを分析・評価するものである。内部環境のプラス要素を強み(Strength)、マイナス要素を弱み(Weakness)と捉え、外部環境のプラス要素を機会(Opportunity)、マイナス要素を脅威(Threat)と捉える。
このように、マーケティングプロセスは価値の選択、価値の提供、価値の伝達という順で行われ、マーケティングプロセスを実現するために、企業ミッションの明確化、自社の事業をポートフォリオとして管理、事業単位の戦略計画という順にマーケティング戦略が決定されていく。
1.マーケティングコンセプト
1.マーケティングコンセプト
- マーケティングとは
- 市場に対する企業の方針
- 生産コンセプト
- 古典的な企業の方針である
- 生産能力による供給力⤴とコストダウンによる価格⤵を目指す
- 需要>供給の場合に有効
- 消費者ニーズや志向の変化に対応できない可能性(-)
- 製品コンセプト
- 常に優れた製品を作り、改良することを重視
- 消費者は良品質・良性能や革新的な製品を好むという前提
- 適正な価格、流通、広告、販売が必要
- マーケティング近視眼に陥る可能性アリ(-)
- 消費者は良い製品×良い解決策◯であることを忘れてしまうと、消費者が望むものを見逃す。
- 事業を製品や手段でなく、製品が果たす機能や製品が解決する目的で定義するべき。
- 販売コンセプト
- 企業が売り込みをしない限り、消費者は買わないという前提
- 販売促進に注力する
- 供給>需要の場合に採用されやすい
- 生産した製品を売り切る>市場が求める製品を生産
- 普段買おうと思わない生命保険等の非探索財で実践されやすい
- マーケティングコンセプト
- ホリスティックマーケティング
- マーケティング活動を取り巻く環境が大きく変化するのに伴って登場した新たな考え方
- 企業のマーケティング活動には全てが重要、幅広く統一感のある視点が必要
- 4つの構成要素から成る
- インターナル・マーケティング
- 統合型マーケティング
- 価値の想像→伝達→提供するためにマーケティングプログラムを統合すること
- 社会的責任マーケティング
- 社会的・倫理的な配慮をしながらマーケティングをすること
- 企業利益、消費者満足、公共利益を調整しながら、社会的背策を実践すること
- リレーションシップ・マーケティング
- 取引を開始し維持するための関係者(顧客、供給業者、流通業者など)と互いに満足のいく長期的な関係を築くこと
- 関係者同士に、経済・技術・社会的に強い結びつきを生み出す
そもそもマーケティングとは売手である企業は買手である消費者や組織の目的をみたすみたす交換関係を創造し、拡大し、継続させる諸活動である。つまり、企業の対市場活動であると言える。そして、マーケティングの目的は、顧客のニーズを見極めてそれに応え、企業が売り込むことが無くても、ひとりでに売れるようにすることである。
企業がマーケティング活動に従事する際、企業、顧客、社会の利害のどこに重点を屋下によって活動の仕方が異なってくる。そして、その市場に対する企業のコンセプトは時代とともに変化してきており、生産コンセプト、製品コンセプト、販売コンセプト、マーケティングコンセプト、社会コンセプトというように変化してきた。まずはじめに生産コンセプトは、生産能力の向上による供給力の拡大とコストダウンによる低価格化を目指す、最も古典的な企業の方針である。消費者はどこでも入手でき、安い価格の製品を好むという前提に立つため、需要が供給を上回っている場合に有効であるが、消費者ニーズや志向の変化に対応できない危険性をもつ。次に製品コンセプトは、常に優れた製品を作り、改良することを重視する。消費者は最も良い品質・性能の製品や、革新的な特徴のある製品を好むという前提に立つため、適正な価格、流通、広告、販売を行わなければ、成功するとは限らない。また、消費者は良い製品を望んでいるのでは無く、良い解決策を望んでいるということ忘れてしまうと、焼死者が何を望んでいるのかを見逃してしまうマーケティング近視眼に陥り、長期的で広範なしやに立てなくなる危険性がある。これを回避するためには、企業は事業を製品が果たす機能やその製品に解決される目的で定義する必要がある。三つ目に販売コンセプトは、企業が売り込みをしない限り、消費者は買ってくれないという前提に立つため、販売促進に注力する。供給力が需要を上回っている場合に採用されやすく、市場が求める製品を生産するより、生産した製品を販売し尽くすことが目的であるが、長期的な成長を阻害する危険性を持つ。販売コンセプトは、生命保険、墓地や仏具、百科事典等の消費者が普段購買しようと思わない非探索財で実践されやすい。最後にマーケティングコンセプトは、自社の標的となる顧客を明確化し、標的顧客のニーズに合った製品を提供する。顧客を企業の中心に据え、企業の全部門が協調することで、顧客満足生み出し、効果的・効率的に高めるように努力する結果として、マーケティングコンセプトを持つ企業は優れた成果を上げている。
また近年、企業のマーケティング活動を取り巻く環境がおお聞き変化するのに伴って、マーケティングに対する新たな考え方が登場した。それは、企業のマーケティング活動には全てが重要であり、、幅広く統一感のある視点が必要だという考え方の、四つの構成要素から成るホリスティック・マーケティングである。まず一つ目の要素は、社内向けのマーケティング活動である、インターナルマーケティングである。インターナル・マーケティングは、マーケティング機能を担う様々な部門が協力して取り組むこと、マーケティング以外の他の部門も顧客のことを考えて取り組むことという二つの条件の下で、社内全ての人、特に経営幹部にマーケティング原理や顧客への対応の重要性を理解してもらうことが大切である。次の要素は、消費者に向けて価値を創造し、伝達し、提供するために、種々のマーケティング・プログラムを完全に統合する統合型マーケティングである。これはあるマーケティング活動を設計・実行するとき、他の全ての活動を連解させて、最大のジョイント効果を得ることを目指す。三つ目に社会的責任マーケティングは、マーケティングを実践する際、社会的・倫理的な配慮することで、企業の利益、消費者の満足、公共の利益を調整しながら、社会的セサ策を実勢することである。最後にリレーションシップ・マーケティングは、取引を開始hし維持するための関係者と互いに満足のいく長期的な関係を築くことであり、関係者同士に経済的・技術的・社会的な強い結びつきを生み出すものである。
つまり、マーケティングコンセプトは自社の標的となる顧客を明確化し、標的顧客のニーズに合った製品を提供し、顧客を企業の中心に据えて全部門が協力することで、顧客満足を生み出し、高めるように努力することである。