7.製品ライフサイクル

7.製品ライフサイクル
 
製品ライフサイクルとその各段階に対応したマーケティング戦略
 
  1. 製品ライフサイクル
    1. 新製品開発のプロセス
      1. マーケティング機会の発見と選択
      2. イデア創出、スクリーニング
      3. 製品コンセプトの開発
      4. 暫定的マーケティング戦略の開発
      5. 収益性分析
      6. 製品開発
      7. 市場テスト
    2. 新製品開発の背景
    3. 新製品がもたらすメリット
      1. 価格競争の回避
      2. 先発優位の獲得
      3. ブランドの確立
  2. 新製品開発のプロセスの各段階で取り組むべきこと
    1. マーケティング機会の発見と選択
      1. 新製品が果たすべき役割
      2. 消費者ニーズと潜在的な購買力
      3. 自社の能力とニーズの適合度
    2. イデア創出、スクリーニング
      1. イデア創出の方法の分類
        1. 技術圧力型(テクノロジー・プッシュ
        2. 市場牽引型(マーケット・プル
      2. アイディア・スクリーニング
        1. ドロップ・エラー
        2. ゴー・エラー
    3. 製品コンセプトの開発
      1. 製品の中身を言葉で表現すること
      2. ブレーン・ストーミング
    4. 暫定的マーケティング戦略の開発
      →以下4点を明確に決定する
      -製品コンセプト
      -適正価格
      -流通チャネル
      -プロモーション
    5. 収益性分析
      1. 損益分岐点分析
      2. 普及モデルによる新製品の売上予測
    6. 製品開発
      1. 製品設計
      2. 工程設計
      3. プロトタイピング
    7. 市場テスト
      1. 模擬店舗法
      2. テスト・マーケティング
  3. 新製品の普及
    1. ロジャースの普及曲線
      1. 革新者
      2. 初期採用者
      3. 前期追随者
      4. 後期追随者
      5. 遅滞者
  4. 製品ライフサイクルの意味
    1. 製品ライフサイクルの曲線
    2. 製品ライフサイクルの各段階のマーケティング戦略
      1. 導入期
      2. 成長期
      3. 成熟期
      4. 衰退期
 
製品にはライフサイクルがあり、寿命が限られているため、製品ライフサイクルの各段階に対応したマーケティング施策を企画・実行していく必要がある。中でも新製品は、3つのメリットをもたらすため、いくつかのプロセスを経て。そのメリットとは既存製品が価格競争に陥っている場合、価格以外の製品の特徴によって差別化できることから価格競争が回避でき、競合他社に先駆けて新製品を開発することで独占的な利益を確保することで先発優位を獲得でき、消費者の好意的な態度を獲得し、指名買いを促すことができるというブランドの確立の三点である。また新製品の開発プロセスは、マーケティング機会の発見と選択、アイデアの創出とスクリーニング、製品コンセプトの開発、暫定的マーケティング戦略の開発、収益性分析、製品開発、市場テストの順に行われる。
さらに新製品開発プロセスでは、各プロセスですべきことや、注意点がある。以下でそれぞれについて説明する。
 まず最初のマーケティング機会の発見と選択では、明確なマーケティング戦略のもとで新製品が果たすべき役割、消費者ニーズと潜在的な購買力、自社の能力とニーズの適合度の3つを理解する必要がある。
 次のイデア創出とスクリーニングでは、アイデアを創出しそれを取捨選択していくことになる。ここではアイデア創出の方法と、スクリーニング時の陥りがちな誤りについて説明する。まずアイディア創出は、科学的発見や技術の進歩により新しい可能性が生じ、これが新製品の開発を促す技術圧力型(テクノロジープッシュ)と人口構成や所得水準の上昇など、市場の変化が新製品の開発を促す市場牽引型(マーケット・プル)の二つがある。またアイデア・スクリーニング時の陥りがちな誤りとして、潜在性の高いアイデアを除去してしまうドロップ・エラー潜在性の低いアイデアを採用してしまうゴー・エラーの二つがある。
 そしてアイデアが決まれば、製品コンセプトの開発に移る。この段階では、製品の中身を言葉で表現する必要がある。それを行う手法としてブレイン・ストーミングがある。これは複数の人間が集まって自由に意見を出し合い、ある課題に関する多様な発想を抽出する技法である。質より量を重視し、互いの意見を批判せず、自由に意見を出し合うことが重要である。
 そして製品コンセプトの開発の次の段階である暫定的マーケティング戦略の開発では、製品コンセプト、適正価格、流通チャネル、プロモーションの4点について明確に決定する必要がある。
 暫定的マーケティング戦略の開発が終われば、収益性の分析に移る。ここでは開発した新製品の利益や売上を予測する。その方法は2つあり、ある価格のもとで売上と費用がちょうど等しくなる販売数量を算出し、利益が出るために何単位売らなければいけないかを予測する損益分岐点分析と新製品が市場に普及していくプロセスを説明する数学モデルを適用し、新製品が一定期間内に何単位売れるかを予測する普及モデルによる新製品の売上予測がある。
 収益性の分析を突破した新製品は、市場テストに移る。ここでは実験店舗内での消費者の反応をみる模擬店舗法と一部の地域に限定して販売するテスト・マーケティングの二つの方法がある。このいずれかまたは両方を実施した後に、マーケティング戦略案についての最終決定を下し、発売に至る。
そしていくつかのプロセスを経て発売された新製品が消費者の愛でどのように普及していくかを描写したものとして、ロジャースの普及曲線がある。ここでは消費者を購買時期によって5つのグループに分類し、革新者、初期採用者、前期追随者、後期追随者、遅滞者とする。それぞれの割合は2.5%、13.5%、34.0%、34.0%、16.0%とされており、初期採用者と前期追随者との間にキャズムがあるとされる。そしてキャズムを越えると急速に広まっていくとされる。
そして製品ライフサイクルは、導入期、成長期、成熟期、衰退期の四つに、分けることができるとされ、売上は成熟期の後半で最大に、利益は成熟期の前半に最大になるとされる。導入期は新製品の市場導入段階、成長期は売上高の増加段階、成熟期は売上高の飽和点を迎える段階、衰退期は売上高・利益高の現象段階であるとされる。
このように新製品は新製品開発のプロセスを経て企画され、製品ライフサイクルに基づいて各段階でマーケティング施策が実施される。